都議会での本会議提案が終わりました。演説冒頭で「病気のカタキを討つよ、お父さん。」と身に着けた形見の腕時計を握り締めました(リンク参照)。
病苦、事故、災害、、、、。これできっと多くの人の命が救われるはず。
父は助かりませんでした。
でも”今”を生きる人たちのために、都議としてこれからも全力を尽くすことをお約束します。
この質疑を亡き父に捧げたいと思います。
※今朝の朝日新聞で記事にしてもらいました。
【動画版】
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/live/video/180305.html
【好評な?要約版】
①今2万人入院している139の中堅の災害向け病院(板橋だと板中、高中とか)の半数で停電で即終了。支援もないよ。このままだと災害時に千人単位で死人増えるけど?
→まず調べるよ
②1万人も心停止で救急車で運ばれてるけど、ほぼ助かってない。消防なにやってんの?
→いろいろと具体的に頑張るよ。
③救急車より速いパトカーにAED乗せてー
→試験的にやるよ
④コンビニにAED置いてー
→早急に環境づくり進めるよ
⑤最近の洪水やばいよ。学校も訓練なし、都営地下鉄も40駅で水没、病院も停電、備蓄も濡れちゃうじゃん
→わかったよ。これからいろいろやるよ。
⑥親父が病で死んだんだけど、COPDとか知らなかったし、予防検診とか対策してー
→やってくよ。
【演説原稿】
昨年10月、父、宮瀬真佐雄が他界しました。その経験から「命」をテーマに提案します。
最初に病院の体制です。16万人の死傷者を見込む首都直下地震では停電に備えた病院の電力確保は最重要です。
父が入院していた病院は都の災害拠点連携病院です。しかしその担当者に聞くと「わずか数時間分の燃料備蓄しかない。。。。」と苦慮されているのが現実でした。父は呼吸器をつけ電力なしでは生きられませんでした。改めて都内全139連携病院の分量を局に確認をすると、1キロリットル以下の病院が79。これでは1日すら持たない病院が半数以上です。
熊本や東日本大地震での停電日数は約1週間。ひとたび連携病院の電力が喪失すれば、負傷者の受け入れのみならず、人工透析患者を含めた外来4万人、入院患者2万人の生命に危険が生じます。しかし災害対応マニュアル策定率は8割、事業 継続計画の策定率は5割に留まり、都には財政支援や燃料供給計画などは現在全くありません。都は連携病院の停電時の電力確保に向けて取り組むべきですが、所見を伺います。
このままでは2次災害により死者が千人単位で増える可能性があることを指摘しておきます
次に助けられる命は助けなればなりません。
平成28年に心停止で搬送された方は都内約 1.2万人です。しかし都の過去10ヵ年における1ヵ月後生存率は僅か9%、全都道府県で42位です。
心停止から10分を経過すると心肺蘇生法をしてもほぼ助かりませんが、平成28年の救急車の平均到着時間は“入電からの時間を含めると ”10分49秒“ とワースト1です。救急車等の体制を抜本的に見直すなど1か月後生存率の向上に向けた取り組みが必要ですが、まずは消防庁の見解を伺います。
一方 新たに「パトカーにAEDを搭載すること」を提案します。
昨年の警察官の交通事故などの現場平均到着時間は、6分56秒で救急車より早く かつ10分以内です。警視庁は車内温度や振動が課題としていますが、既に車載AEDを導入した神奈川県警・鳥取県警に伺うと、故障はともにゼロ件。鳥取県警では8年前から予算計上し、実際に救命活動をしているとのことです。警視総監の所見を伺います。
次に心停止は夜間から早朝にかけて一番多く発生していることから、24時間営業の都内「全」コンビニにAEDを置くことを提案します。
日本フランチャイズ チェーン協会に伺うと、「具体的にATMの横に置くことを検討。後一押し行政の支援があれば、、、」とおっしゃっていました。国もコンビニへの設置を推奨しており、船橋市、戸田市など全国の自治体も市内 全コンビニに設置、救命実績もあります。その財源も伺った船橋市では、市の施設にある全てのAEDを一括リースし コストを削減、その予算で費用を捻出しました。警視庁でも交番などのAEDをリースにし約4千万円のコスト削減に成功。さらには とある自治体関係者は 「施設などにある区のAEDは学校やスポーツ施設など最低限を除いてコンビニに置いても良い。区施設と比べ来店者も多く、夜間や休日など利用 可能時間も今の倍になる。都で「協会」と、協定を結んでもらえれば」とおっしゃっていました。このように都有施設AEDの一括リースや区市町村との連携など、仕組みを変えれば“予算を多くかけずとも”都内全コンビニにAEDを置くことが可能ですが、知事の所見を伺います。
さて 守らなければならない命は守らねばなりません。
温暖化が加速し北関東・九州北部などでの洪水や、ゲリラ豪雨など毎年水害が発生しています。それらの教訓を受け国が昨年8月「あらたなステージに突入した」とし、洪水浸水想定 区域図を公表しましたが、その中には多くの都の施設があります。例えば126万人が被災するとされる荒川水系において、その区域図をもとに各局の担当と 場所や数の突合せをし、実際に現場を確認しました。
都立学校は全256校のうち59校が浸水。しかし現地調査をすると うち36校では、備蓄が地下や1階、地上に保管されており、使用できない可能性があります。さらに水害を想定した訓練実施率は4割にとどまり、多くで避難場所の事前選定もなされていません。今後、教育庁は洪水・浸水への対応として、備蓄を適切な場所に保管するよう指導すべきです。あわせて水害想定の避難訓練も実施するよう指導すべきですがそれぞれ見解を伺います。
都営地下鉄では全出入り口に止水対応をしていました。しかし駅地下で繋がる“民間ビル出入り口”では その限りではなく、連絡体制もなく交通局はその状況のすべてを把握できていません。現在 都営地下鉄全101駅では18年前の東海豪雨災害をもとに対策をしていますが、新たな予測によればこの対策では大手町駅をはじめ多くの駅で、浸水や逃げ遅れの可能性を国が指摘しています。都営地下鉄の該当する浸水 駅数 と新たな対策を伺います。
都の備蓄倉庫では全体の4割が浸水。しかしその地域にある倉庫の6割では有効な対策が見出せず、このままでは延べ27万人分の備蓄が水没します。さらには浸水想定地域にある8つの災害拠点病院や連携病院の一部では、自家発電設備がいまだに地下にある状況が続いています。状況を正確に把握し、災害拠点病院の水害に対する体制強化を図るべきですが所見を伺います。
最後に父の病名はCOPDという病でした。
COPDは慢性閉塞性肺疾患と呼ばれ、主たる原因は喫煙、症状は徐々に徐々に息が出来なくなる 大変苦しい病気です。WHOは2030年には死因第3位になると予想し、日本でも推計530万以上の患者がいます。しかし治療を受けている方は4%にとどまり、予防や早期発見に繋がる その認知度は、都の目標8割に対し僅か3割です。都議会でも過去10年、単独で質疑されていません。企業での検診や区市町村との連携も欠かせませんが、わずか1、2自治体にとどまっています。そこで認知向上、検診、区市町村との連携などが課題となりますが、知事のCOPDに対する見解を伺います。
最後に一言申し上げます。
父は助かりませんでした。しかし 父と同じ病で苦しむ方、病院で看病を受けている多くの方々、何よりも“今を” “生きる”人たちのために、全力を尽くすことをお誓いし質問を終わります。